突然ですが、あなたはあと何年生きていられると思いますか?
みなさん様々な理由で節約や資産運用をしていると思いますが、その目的は何でしょうか。今よりもっと良い生活をしたい、FIREしたい、車が欲しい、家が欲しい、海外旅行に行きたいなどなどあると思います。
様々な目的はあると思いますが、ほとんどの人は、「老後に収入が大きく減少する、またはなくなったとしても死ぬまでお金に困らないこと」は目的の一つになっているのではないでしょうか?
この記事では、簡易生命表からあなたがあと何年生きているかを推測し、そのうえで資産運用について頭に入れておくべきことお話しします。
- 今生きているあなたは平均寿命よりかなり長生きするかもしれない
- タバコ、お酒、生活習慣病は余命を短くする。特にタバコ
- 余命が長そうな人は余裕を持った老後の資金計画が必要
- 一度具体的なシミュレーションをしてみよう
平均寿命って?
日本人の平均寿命は何歳かしっていますか?
えーっと、80歳くらいでしたっけ?
最新の統計では男性は81.47歳、女性87.57歳でした。
ニュースなどでよく言われる、「平均寿命」とは、その年に生まれた0歳の子が、平均してあと何年生きられるか(平均余命)のであって、今生きている私たちが平均するとその年齢で亡くなる、というものではありません。0歳以外の人について、それぞれの年齢の平均余命があります。
元となる資料は、毎年厚生労働省が発表している簡易生命表です。2022年(令和3年)の男性の平均寿命(0歳の平均余命のこと)は 81.47年、女性の平均寿命(同)は87.57年でした。前年より男性は0.09年、女性は0.14年短くなっています。新型コロナウイルス感染症などが平均寿命を縮める方向に働いたと考察されています。
あなたはあと何年生きられるか?
それじゃあ、自分はもうすでに年を取っているからもっと短く生涯を終えるということですか?
いいえ、もっと長く考える必要があります。
あなたの年齢と簡易生命表から平均余命をみてみよう
私たちはすでに同じ年に生まれた日本人の中から、運よく病気や事故で死なずに済んでいます。ですので、平均寿命よりは残された時間が長いのです。
では、私たちはあと何年生きられるのでしょうか?
どれくらいの年齢まで生きることを考えて資産運用をする必要があるのでしょうか?
こちらは令和3年簡易生命表にある主な年齢の平均余命です。管理人はアラフォーですので、40歳・男の欄を見てみます。42.40年、ということですので、平均すると82.40歳まで生きてるということになります。先ほどお話しした「平均寿命」81.47歳より1年長くなりましたね。
大まかな数字は上記の表に記載の通りです。各年齢ごとの平均余命はこちらとなります。
令和3年簡易生命表(男)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life21/dl/life21-06.pdf
令和3年簡易生命表(女)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life21/dl/life21-07.pdf
40歳・男の場合で、いわゆる平均寿命+1年であと42年あります。「老後資金が2000万円」必要足りないと話題になりました。これは「高齢夫婦世帯で無職の場合、年間約65万円の赤字が続く」という試算に基づいています。せっかくの老後ですので、旅行に行ったり、孫に色々なプレゼントをしたりなど考えると、65万ではなく100万円あれば赤字にならず、蓄えが減る不安におびえる必要がなくなる可能性がありますよね。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf
(金融庁金融審議会、市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」令和元年6月3日 。2023年3月18日アクセス)
あなたの現時点の健康リスクから予測される余命を考えてみよう
40歳の男性は平均するとあと42年生きられることがわかりました。これはあくまで平均です。残念ながら事故等で急死してしまう人や、現時点で末期がんを罹患しており予後が短い人から、100歳を超えるまで何の持病もなく天寿を全うされる方までの平均です。タバコを吸っている人(1本だろうが、IQOSなどの加熱式たばこだろうが、あなたとあなたと同居している大切な家族の病気のリスクは上がります)、飲酒量が多い人、現時点で何らかの病気(特に、高血圧、糖尿病といった生活習慣病)がある人は平均より短くなる可能性が高いです。逆に言えば、現時点で何の病気もなく、発がんリスクが低い人は突発的なことがない限りは、平均余命よりだいぶ長く生きる可能性が高いと予想されます。
様々な疾患などと余命の関係についてはおおむね以下のような情報が参考になります。
- 高血圧
高血圧の人は高血圧ではない人よりも40歳からの平均余命が男性で2.2年、女性で2.9年短かった。
(Turin TC, et al. Hypertension and life expectancy among Japanese: NIPPON DATA80. Hypertens Res. 2012;35(9):954-958. doi:10.1038/hr.2012.86) - 糖尿病
糖尿病の人は糖尿病ではない人よりも40歳からの平均余命が男性で8.8年、女性で6.6年平均余命が短かった。耐糖能異常(いわゆる「グレーゾーン」的なやつのこと)であっても平均余命が男性で4.2年、女性で1.7年短かった。(Turin TC, et al. Diabetes and life expectancy among Japanese – NIPPON DATA80. Diabetes Res Clin Pract. 2012;96(2):e18-e22. doi:10.1016/j.diabres.2012.01.003) - 喫煙
タバコを吸う人はタバコを吸わない人よりも40歳からの平均余命が3.5年短かった。(Murakami Y, et al. Life expectancy among Japanese of different smoking status in Japan: NIPPON DATA80. J Epidemiol. 2007;17(2):31-37. doi:10.2188/jea.17.31)
この3つはすべて日本人を19-24年追跡したデータをもとにしており、日本人がそれぞれの疾患の影響をどれくらい受けるかを比較的正確に表していると思われます。脂質異常症と余命とのデータは見つけられませんでした。
タバコに関しては3.5年をはるかに超える寿命短縮を報告した研究が複数あります。タバコを吸い続けていると10年くらいは余命が短くなるくらいのイメージを持ってもらった方が良いと思います。
禁煙に関しては、30-35歳くらいまでにやめれば生涯非喫煙者と同じくらいの余命になりますし、それより遅かったとしても、様々な良い効果が期待できます。
今ドキッとしたそこのあなた!まだ遅くないですよー!!
- アルコール
40歳からの平均余命に関して、1週間の飲酒量が10ドリンク(2ドリンク=ビール500ml)以下の人に比べると、週に10-20ドリンク飲むと6か月短く、20-35ドリンク飲むと1~2年短く、350ドリンク以上飲むと4~5年短かった。(Wood AM,et al. Risk thresholds for alcohol consumption: combined analysis of individual-participant data for 599 912 current drinkers in 83 prospective studies [published correction appears in Lancet. 2018 Jun 2;391(10136):2212]. Lancet. 2018;391(10129):1513-1523. doi:10.1016/S0140-6736(18)30134-X)
ドリンク数とお酒の種類についてはこちら。
ここに紹介したのは、他の病気の関与を統計的処理により除外した数字です(かなり専門的な処理ですので細かく正確に理解し、説明するのは自分のような一医師には困難です)。さらに、例えば同じ高血圧での余命短縮といっても、ちゃんと血圧がコントロールされている人と、病院には通わず放置している人では変わってきます。
そのため「血圧がこれくらいで、タバコは●本吸って、アルコールはのまない私」の平均余命を正確に推測することはできません。
大まかに言って、上記のような生活習慣病によるマイナス要因がなく、エビデンスのあるがん検診を定期的に受けることで、がんになったとしても早期発見・早期治療ができれれば、平均余命+5-10年程度はいくのではないかなというのが管理人の印象です。
ということは、老後資金2000万円問題に戻りますが、平均して1年間に65万円不足するということですので、長生きする可能性を考えると500-1000万くらいは余裕を持った資金計画をしないといけないかもしれません。
そのため資産運用をどう考えるか?
あなたの余命はどのようになりそうでしたか?すでに様々な病気があったり、タバコを吸ってしまっていて余命が短そうな人も、いたって健康で余命がだいぶ長いんだろうなという人も様々だったと思います。もちろん予測であってどうなるかは誰にもわかりません。資産運用の目標、老後の資産管理の参考にしていただければと思います。ただ一つ言えることは、余命が長そうな人はさらに余裕を持った老後の資金計画を立てるべきであろうということです。
ファイナンシャルプランナーはあなたの生活状況、現在の資産、資産運用の方針などから生涯にわたる収支の計算、貯蓄額の推移といったファイナンシャルプランニングを立てることができます。ファイナンシャルプランナーに相談するまではちょっと、、という方はこちらのサイトはいかがでしょうか。管理人も利用しています。ファイナンシャルプランナーの業務でも使えるようですが、簡易的な個人利用もでき、将来の資金計画を立てることができます。
まとめ
日本人の平均余命と疾患などによる影響について説明させていただきました。病気もなくお酒もたばこもやらない人はニュースで言われる年齢より長生きできそうだなということがイメージできましたでしょうか?その分、余裕を持った老後の資金計画が必要になってきそうですよね。一度、ファイナンシャルプランナーに相談してみたり、シミュレーションソフトで具体的なイメージを作ってみるのはいかがでしょう。